※この記事はネタバレを含みます。
どうも、重平です。
あやかしトライアングル第71話「ずるい」の感想です。
あやかしトライアングル第71話「ずるい」
妖巫女の現状
「私がいなくなったら祭里とシロガネを元の姿に戻すことはできない」
カゲメイは前回の最後にそう言いました。
実はこの発言はカゲメイの策略や気まぐれの発言などではなく、妖巫女の現状を的確に表す言葉だったのです。ただの分身であるはずのカゲメイになぜ自我があるのか、”命光輪”という凄まじい力を秘めておきながら何故すずは自分の意思でそれを発動できないのか。
その理由は、「妖巫女の心が三つに分かれてしまっているから」というものでした。
現状妖巫女の心は現在の妖巫女であるすず、すずの中に居る”幼心の君”、そして比良坂命依の分身であるカゲメイの3つに分かれています。そのため、代々受け継がれてきた妖巫女の力も分散してしまい、すずは本来の妖巫女の力を扱うことができないのです。
祭里にかけられた”性醒流転の術”は秘術と言うだけあって非常に強力で複雑な術ですし、唯一それを解除できるシロガネは想介戦以来ほとんどの妖力を失ってしまいました。元々大妖怪であるシロガネは膨大な妖力を有していましたから、祭里にかけた術を解いてもらうためにシロガネの妖力を全盛期の頃まで回復させるためには、妖巫女と言えど”命光輪”を発動できるほどの力がなれば難しいのです。
しかし、妖巫女の力を余すことなく使おうとするならカゲメイをすずと融合させる必要がある一方、カゲメイは自我をもっていてすずの身体を乗っ取る気でいる。必要な存在だが下手したらやられるというのは、なかなか厄介な状況ですね。
カゲメイの提案
カゲメイは害をなす存在であるものの、その存在を消すことはできないという厄介な状況。ここでカゲメイは「仲良くしよう」とある提案を持ち出してきました。
翌日、祭里たちの教室にはカゲメイの姿がありました。カゲメイの提案とは、祭里たちと同じ学校に通う事だったのです。ちなみにカゲメイは人の認識に入り込んで元々そこに居たかように認識させているため、祭里たちやヤヨのような妖の存在を知っている人以外には、すずのいとこの「ヒラサカ」として認識されています。
カゲメイはこれまで手作り巫女装束か全裸しか見たことがありませんでしたが、学校の制服姿もとてもよく似合っていますね。まあ元々大きい胸だけはその破壊力を隠しきれていませんが。あとから教室に入ってきたヤヨがその大きさに驚いているのが面白かったです。なんだよ”爆”って(笑)。
カゲメイの本心
祭里たちと同じ学校に通うことになったカゲメイ。すずたちと仲良くしようというのが表向きの理由ですが、裏ではすずと祭里の絆を壊そうと画策していました。どうやらカゲメイは祭里をただ殺してもすずの心と身体を手に入れることはできないと考え、まずは一度融合したカゲメイを追い出すに至った二人の固い絆を壊すことにしたようです。
そんな物騒なことを考えながら廊下を歩いていたカゲメイは、ふいにルーから写真を撮ろうと声をかけられ、いつもの花鳥風月のメンツ+カゲメイで記念写真を撮ることに。
しかし、ルーがシャッターを押した瞬間、カゲメイは泣きながら助けを乞うように祭里に抱き着きました。カゲメイは「写真を撮ったら魂を抜かれる」という昔の迷信を信じていたので、写真を撮られると自分が消えてしまうのではないかという恐怖に駆られたようです。
つい先ほどまで恐ろしい企みをしていたカゲメイの突然のかわいらしい反応。とはいえ、カゲメイは150年以上も昔の人間。あのカゲメイが泣いたほどですから、いきなりスマホなどという得体のしれない板を持ち出されて写真を撮られるというのはカゲメイにとってはかなり恐怖を感じることだったのかもしれません。
そんなカゲメイのかわいらしい一面を見て、すずはカゲメイが(すずのことを)「ずるい」と言っていたことを思い出します。
比良坂命依の生きていた頃は時代は食料の問題や疫病などで生きるのが難しい時代であり、加えて命依は人から恐れられいつも孤独でした。それに比べ、すずの生まれた現代は平和であり、家族や友人といった大切な人たちに囲まれています。多少時代的に仕方のない面もあるとはいえ、自分とすずの境遇の大きな差をカゲメイは「ずるい」と思っていたのです。
そんなカゲメイが女子高生を体験してみたいと言いました。かつて人間に裏切られ人柱にされた命依にとって、人間社会の中に居ることは非常にストレスのかかるもの。しかし同時に生前は触れられなかった人間社会への興味もありました。
いつも人に恐れられ妖としか関係を持てなかった命依にとって人の世は未知の世界。知らない世界は怖いけれどそれでも近づいてみたい。そんな命依の想いがカゲメイにも残っているのであれば、人と接することで人への恨みを浄化できるのではないかとすずは考えたのでした。
祭里たちと学校生活をおくることでカゲメイになにか変化が表れるのか、それともやはりカゲメイは人に害をなす存在のままなのか。今後のカゲメイの心境に注目ですね。
画楽の考え
祭里たちと同じ学校に通うこととなったカゲメイですが、これは一人で考えたわけではありませんでした。実は、この一連の流れは画楽が考えたものだったのです。
カゲメイと行動を共にしていた画楽は、カゲメイの治療中に「祭里とすずの絆が気に入らないなら壊せばいい」と提案しました。カゲメイは画楽のその提案に乗り、学校に通うことになったのです。
しかし、祭里の母親も居る学校に認識のすり込みだけですんなり入り込めるはずがありません。ではなぜカゲメイは学校に入り込むことができたのか。
それは、画楽が二重スパイであり、祭里の母親と情報を共有していたからこそ実現できたことだったのです。
なるほど、二重スパイですか。画楽は何か考えがあって祭里たちを裏切ったんだろうなと思っていましたが、こういった理由でしたか。たしかに画楽の掴みどころのないキャラはスパイに向いてそうですね。
カゲメイを学校に通わせたのも、二人の”絆”という目に見えないものに注意を向けさせて祭里が即座に殺されないよう守るための措置だったのかもしれません。とはいえ、祭里たちの学校は祓忍だらけのいわば敵の本拠地。学校という場でお互いに派手な振舞いはできないにしても、初恋の人をわざわざ危険にさらすような真似を画楽がするとは思えません。
画楽は一体なんの目的でカゲメイを学校へ送り込んだのか。筆者としては、画楽はカゲメイを学校に通わせることで人間と触れ合わせ、その中で人への恨みを浄化し、かつての命依を取り戻そうとしているのではないかと考えています。
カゲメイがすずに漏らした本音や画楽の提案に乗ったところを見るに、カゲメイが実は人と触れ合ってみたいと思っていたことに画楽はきっと気づいていたのでしょう。そこでカゲメイの希望に沿いつつあわよくば元の命依を取り戻せるかもしれない提案を持ち掛けた。
さらに敵の本拠地とも言える学校にカゲメイが居れば、その動向は常に祓忍に監視されることになるため、人間側からしても何かあった時にすぐに動くことができる。祭里が殺されないように守りやすくなります。
祭里たちを守りつつカゲメイの秘めたる想いも叶え、二重スパイ先の祓忍に情報を提供し、もしかしたらかつての命依を取り戻せるかもしれない状況。画楽の提案はいろいろな方面に有効に働く素晴らしい提案ですね。
ただ、恐らく本当の目的はカゲメイを浄化しかつての命依を取り戻すこと。初恋の相手にまた会いたいというのが画楽の本当の願いなのではないでしょうか。
今後のカゲメイの動きも気になりますが、二重スパイとして暗躍する画楽の動きからも目が離せませんね。
感想/まとめ
妖巫女の今の状況、そしてカゲメイが学校に通いだしたお話でした。
先週の発言でどんな秘密が明らかになるのかと思っていましたが、なるほどねって感じでした。妖巫女本来の力を使うにはカゲメイが必要なのに、下手したら身体乗っ取られてしまうなんて、絶妙に厄介な状況になってきました。
そんな状況の中でカゲメイの学校生活が始まるとはそれこそ夢にも思っていませんでした。まあ、カゲメイの制服姿可愛いし、何がとは言わないけどデカくて素晴らしいので何も文句はありませんけどね!
カゲメイを学校に行かせた画楽ナイスです。これで画楽が単純にカゲメイの制服姿が見たいから学校行かせたとかだったら笑えるのですが、まあそんなことはないでしょう。画楽の事ですから、きっとまた何か考えがあっての提案だったんだと思います。二重スパイであることも判明しましたし、今後画楽がどのように動くのか楽しみですね。
新章が始まり、前章の敵が今度はクラスメートに。祭里とすずが両想いであることが判明している今、二人の仲を引き裂こうとするカゲメイはどのような行動に出るのか。そして、画楽の目的は何なのか。これからもあやトラ新章から目が離せませんね!
P.S.
新章が始まって以来、もう3週連続で掲載順位最下位になっているあやかしトライアングル。たまに最下位になることがあったので暫く様子見していましたが、流石に3回連続となると見過ごせなくなってきました。
新章が始まった時は力を入れてきたなと期待感が高まったのですが、思ったように伸びないものですね。新章始まったばかりで打ち切りとかそんなのは本当に勘弁してほしいです。
今回のお話は若干ToLOVEる感が感じられましたし、おそらくは人気回復を図ってラブコメに舵をきったといったところでしょうか。やはり読者が矢吹作品に求めているものはジャンプのお色気ラブコメ枠ということなのだろうか。
人気回復の意図があるのか、元々用意していたシナリオとたまたま時期が被ったのかはよくわかりませんが、これから始まるであろうカゲメイも交えた学校生活でまた人気が回復してくれることを願っています。
ホントに打ち切りだけは勘弁を!せめて矢吹先生が納得するところまでやってくれ!!
それではまた次回!
単行本発売中!
ジャンプ読むならジャンプ+!
これまでのお話はこちらから
コメント